恐怖!!天津小湊の真鯛伝説
今は合併して鴨川市小湊という住所になりましたが、以前は安房郡天津小湊と言っていましたので、私は「天津小湊」と言った方がしっくりきます。
日蓮聖人降誕の地を記念して建立された、誕生寺という大きな寺があります。
様々な言い伝えの中、この地の人達は天津小湊で獲れた「鯛」は食べないのだそうです。
~~~日本口承文芸学会の記述にあった文章の一部です。
『大弁天島・小弁天島周辺は、干潮時に出現する陸地や島などからすぐに水深が深くなっていく場所である。
このような環境がタイにとって住みよい場所であったと考えられる。
しかし、底魚であり、回遊魚であるタイが鯛の浦に居つき、人間に餌付けされている理由は、科学的に十分解明されていない。
通常の生態からは考えられない、餌付けされている鯛の浦のタイは小湊周辺の人々から「不思議なもの」として捉えられ、国の特別天然記念物に指定されている。』~~~
とあります。
私も過去に遊覧船に乗って、本当に鯛がたくさん餌付けされているのか見に行った事があります。
そこに群がるのは90%が大きく太ったメジナでした。
そしてメジナの層から少し深いところに、大きな大きな鯛が数匹見えました。
一応、鯛が居ました。
千葉県に生息するメジナは「クチブトメジナ」が主流で、大きく育っても50㎝位までです。
それが餌付けされて、丸々と太っています。
鯛は1mを超える程育ちます、大きくなります。
遊覧船で見えた鯛は推定80㎝前後のサイズに感じました。
◇◇◇ さて、これはメジナ釣りを40年してきた私個人の感想です。
真鯛は頭が良く、いろいろな物に興味を抱く魚に思います。
そのため鯛釣りの手法が数種類あります。
土地柄だったりもあるようですが、鯛専門の釣り人は自分の好きな釣法で鯛釣りを楽しんでいるようです。
そして変温動物のメジナと違い、低水温でも餌を捕食する真鯛は、強くて大きく育ちます。
そんな魚なので、水深1m程度の超浅場までフラフラと遊びにきてしまう話をよく聞きました。
「泳げ鯛焼きくん」より簡単に釣れてしまう話が多々あります。
そこへ行くと、メジナはヘソ曲がりのスレッカラシです!
40年もメジナを追いかけている私にとっては、メジナを躾ける方がよっぽど難しいと思います。
そのメジナが大量に餌付けされている事実の方が十分「不・思・議」です。
釣りを終えて、渡船屋の親父の家にお邪魔してお茶をご馳走になりながら、小湊の磯での事故やその怖さをたくさん聞かされました。
そして「鯛は釣るなよ」と念を圧されました。
釣り人は魚を選んで釣り分ける事は難しいものです。
「釣れてしまった鯛は放流しなさい」と言われました。
魚は時として「釣針」を飲み込んでしまう事があります。
残念ながらその魚は放流しても死んでしまいます。
渡船屋の親父いわく「それでもいいから放流しなさい」。
と言われました。
「天津小湊の鯛を持ち帰り食べると災いが起きる」と言うのです。
先輩の釣り師からも聞いた事があります。
食べた知人の家族が交通事故にあったり、病気で亡くなったりという話を聞きました。
そしてその「知人のエリア」が釣り歴と共に自分に近づいて来て、私の知人も災難にあった事も聞かされました。
この話は、天津小湊で釣りをする殆どの磯釣り師が知っています。
楽楽屋の整体の患者さんの中でも、聞いた事があると言っている人が居ました。
そしてまた当然のごとく「迷信だ」という人が表れます。
いつも気が強く威勢のいい先輩が、天津小湊で鯛を釣ってしまい、でも怖いから放流したと聞きました。
98㎝あったそうです。
私からすれば、「あの人までも怖れるか」と言う思いです。
でも、私でもそうします。
メジナ釣りも楽しいのですが、今年もシロギス釣りの季節がやってまいりました。
久しぶりに、シロギス釣りも上手な先輩釣り師に電話をしました。
「癌」になってしまったと言うのです。
68歳です。
血液の癌なので、手術はできません。
4月に発覚して、現在は仕事を続けながら「抗がん剤治療で闘っています」。
聞けば、今年の2月に天津小湊で60㎝の鯛を釣ったそうです。
「旨かった」そうです。
鯛説を知らない筈はありませんが、気にしなかったそうです。
そして今でも、自分の癌と鯛伝説を結びつけようとしません。
元気に話すので会話は続きます。
そして、もう一人の先輩が、昨年の6月に仕事中に倒れ、脳梗塞で3か月入院していた事を聞きました。
やはり68歳です。
全く知らなかったので驚きです。
そしてその人も、昨年の2月に天津小湊で60㎝の鯛を釣ったそうです。
「マジか!!」
この人達「マジか!!」
私には何も出来ないので、お大事に。
高価な釣り竿は私が引き取りますよ!