あいさつは人との距離を縮めます

また釣りのお話です。
30有余年ウキを使った”ふかせ釣り”というスタイルで、メジナという魚を千葉県の南房総で追いかけてきました。
ウェットスーツを着て、磯の溝を泳いで渡礁したり、夜中から場所取りをしたり、尾根を30分歩いてロープで崖を下りたりと沢山経験してまいりました。

それだけの事をしたからといって、大物をたくさん釣ったのかというと、釣れないのでございます(^^ゞ
場所さえ良ければ釣れる、というわけではないことも学びました。

後に腰を悪くしてからは、港から船で沖の岩礁に渡してもらい、時間で迎えに来ていただくという大人な釣りを選んでおりまし千葉県安房郡鋸南町のメジナ釣りた。
その頃は船頭さんも若く現役で勇ましくて頼りになり、私も若かったので自分の命を預けて楽しんでおりました。
今ではその頃の船頭さんはお爺さんになってしまい、息子さんも会社勤めをしているため後継者がおらず、廃業している渡船業者さんが殆どです。
今はあの沖磯へ行きたくても行かれない、行く術がありません。
あの頃は良い時代でした。

 

しかしさすがに私も56歳になり、あまりやんちゃなことは体力的にもできなくなり、現在は誰もが知る”釣り雑誌”などにも掲載されているような釣り場で楽しんでおります。
こういう場所は駐車場から近い等の手軽さがあり、数年にわたり連日釣り人が訪れます。
そのため、いわゆる”場荒れ”という状態で「魚が擦れている」とされてきました。
それでも釣り場ガイドブックなどは、何時の時代もその場所を紹介しております。
まあ、比較的安全な場所なので、初心者には良いでしょうけれど、ただここの擦れた魚を初心者に釣り上げろと言うのは相当難しいかな!



さて、そんな場所で釣りをしていると、人の出入りが多いため数名の人に声を掛けられます。
経験豊富そうな人は「こんにちは、どうですか?」と声を掛けて来ます。
身なりから私と同じメジナ釣りをやっている人でしょう。
質問の仕方が急所を捉えており、会話の中で私も知りたかった情報を得る事ができます。
為になります。
風下に立つし!

次に40歳位?の人が道具も何も持たずに声をかけてきました。
第一声が「あれ何だかわかりますゥ?」と来た、あいさつも無しで!
私が釣りをしているポイントエリアの少し右沖に、漁師さんが仕掛けた伊勢エビ網の目印のウキが浮いています。
海底におおよそ縦50㎝位の網が50m位に渡り仕掛けてあります。
私の狙うメジナは中層魚なのでなんの問題もありません!
むしろあそこに溝がある!と教えていただいている感じ。
そしてその大きいウキの動きで潮の流れも観察できます。
私としては”漁師さんと共存できている”気に勝手になっています。

あいさつもせずに(できずに)無礼な奴だと思ったけれど、海老網の説明をしてあげました。
すると「エギ投げてひっかかんないかなァ」と言いだした。

”エギ”とは小魚に見立てた擬似餌で、アオリイカを狙うためのルアーです。
前回”チニングのお話を書きましたが、エギでアオリイカを狙うスタイルを”エギング”と呼ばれています。
エギは錘が付いていて、投げて着水すると海底まで沈みます。
そこから小魚が跳ねるようなアクションを描いてリ―リングしてきます。

物理的に言うと、ヘタクソが投げれば当然海老網に引っ掛かります。
そうなった時にきっとこの40歳は、自分の道具の心配しかしないでしょう。
漁師さんの生活をかけた大切な漁具が切れてしまい、それに怒った漁協が”釣り禁止”などの措置をしてくるかもしれない、などとは一切考えないでしょう。
過去にそういう原因で釣り禁止になった場所はたくさんあります。

そんな事を思っていたら、その40歳はあいさつもせず、海老網の説明にも礼を言わず、いなくなってしまった。

そして30分後、竿とエギを持って来たよ。

そして無言で私の隣で投げはじめるでないの。
そこは「隣で釣りしていいですか?」は最低限言わなきゃいけない こ・と・ば だろ。

しかし5分後、海老網が仕掛けてある距離まで投げる器量が無いことが判明。

そして1分後、手前の岩にエギがひっかかってしまって、ラインブレイク。

今度こそ帰って行った。

何故か、かわいそうになってしまった。

礼儀をもって、人に教えてもらわない限り、彼にアオリイカは釣れないでしょうね!

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