パラリンピック 健常者と車椅子バスケットボールⅡ

疲労しにくく、しなやかに歩くための仙腸関節について。

私達が「骨盤」と呼んでいる組織は、1ヶ所(パーツ)ごとに名前がついています。
一番大きく左右に2つある「ザ・骨盤」とされている骨を「腸骨」(腸を支えている)と言います。
腸骨があることで腸がささえられ、激しい運動をしても腸が捻展してしまうような障害から守ってくれています。
この左右の腸骨の真ん中にあるのが「仙骨」です。
仙骨と腸骨の間にある仙腸関節の画像仙骨は身体の左右に対し真ん中にあって、なおかつ背骨の下部で上肢の荷重を受ける大切な任務を果たています。
そして呼吸と一緒に前後に可動する組織であり、私が自律神経の施術をさせて頂く上で、横隔膜と合わせて最善の注意を払う大切な部位です。
この仙骨と腸骨の合わせ合う接地面を仙腸関節と言います。
仙腸関節面は骨(仙骨)と骨(腸骨)の密着が強く、近年まで医学ではここは関節では無いとされてきました。
しかし歩行と共に可動する事が確認されるようになり、上体がブレずに歩く為の「要」である箇所と理解されるようになりました。

もしも、この仙腸関節を殆ど動かさない運動を続けていくと、骨(仙骨)と骨(腸骨)の密着度が強いため、骨同士が「融合」してしまいます。
融合した骨と骨は、手術などで分離することはできません。
また、融合しても歩くことは出来るため、手術をしてくれないと思います。
融合した箇所は生涯そのままとなってしまいます。

融合しても「歩く」という行動はできますが、たとえば右脚を前に出す時に右脚を挙げると、身体の右側が上半身ごと上に上がります。
そして右脚を前に出すと、身体の右半身が右脚と一緒に前に出ます。
歩くたびに身体が上下に揺れてしまいます。
たとえば、そうはさせじと身体を上下に揺れさせずに歩く為には、両膝を少し曲げて股関節から下だけで進行することは可能です。
しかしそうすると、日本の伝統芸能である「能」のような歩き方になってしまいます。
私達の身体の軸を受ける「仙腸関節」は常になめらかに可動する関節であり続けなければいけないのです。

健常者の車椅子バスケットボールは動く筈の骨盤から足先までの機能を、あえて使わずにお腹から上半身だけをアクティブに使うことになります。
動くから踏ん張れる下半身の筋肉は、踏ん張る為だけに活用され”伸縮”が許されない環境となります。

受け入れる側もスポーツ人ならば、健常者の参入に疑問を持ってほしいものです。
身体の構造学や生体力学を知らない学生達は、きっと障害者と健常者の隔たりを持たずに、一緒に迫力あるプレイができることに興味を持っているだけだと思います。

水泳の選手や競輪の選手は歩く事が苦手です。
彼らは大きな筋肉を養ってはいるけれど、それは水中や自転車競技の為の筋肉であって、陸上での歩行ではすぐに疲れてしまいます。
しかしそれはその世界で競技を続けていく以上「承知」してやっていることなのです。
水泳も競輪も健康な身体で「仙腸関節」をフルスロットルで可動させているため、それぞれの競技から引退して一般の生活を送るようになれば、陸上で歩くと言う行為が復元してくるはずです。

しかし健常者のやるべきスポーツではないかもしれない「可動を制限させたスポーツ」によって、もしも「仙腸関節」が融合してしまったり「膝・股関節の変形」がおきてしまってからでは手遅れになってしまいます。

身体の機能が健常な人は、動く箇所の関節・筋肉を十分動かしていくことが大切です。

しつこいようですが、車椅子バスケットボールの選手の方はご自身が障害者でなかったら、車椅子バスケットボールという競技をやっていないと思います。

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